日曜日, 2月 18, 2007

夜のピクニック

「夜のピクニック」 著:恩田 陸 新潮文庫

『みんなで夜歩く。
 ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろうね』

・・・コレ中学生か高校生の時に読んでおきたかったなぁ!!
もうね、もう中高生のみなさん(読者にいるのか?)は読んだ方がいい。
この本はもしかすると一生の宝物になるかもしれません。
人生の中で何度も読み返しては自分を奮い立たせる生涯の友になりえます。
これはそれだけの価値がある本です。

舞台は北高の歩行祭。夜を徹して延々と80km歩き続ける伝統行事。
高校三年生になって、この行事が終わるとあとは受験に一直線となる
融(とおる)、忍、千秋、貴子はそれぞれの思いを胸に歩行祭に臨みます。

ただ淡々と、それぞれが歩きながら話すこと、思うこと、感じることを
描いているだけですが、どうしてこんなに面白いのか!!
途方もなく歩きつかれているからこそ見えてくる本音。
そして受験前最後の思い出作りという
独特の空気の中だからこそ話せる青臭くてカッコいい話。

これぞ青春

今ココを読まれている方の中、特に中高生の方には
「今やっていることって無駄なんじゃないだろうか」と
思ったことがある方って多いと思うんです。
というか僕はよく思ってたんですが、
忍の台詞(作品の中で読んでもらいたいので反転)

『雑音だって、おまえを作ってるんだよ。
 雑音はうるさいけど、

 やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。
 おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、

 このノイズが聞こえるのって、 今だけだから、
 あとからテープを巻き戻して聞こうと思ったときにはもう聞こえない。
 おまえ、いつか絶対、

 あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う』

これには目からウロコが落ちました。
本当に今しかできないことって少ないと思いますが、
今しか感じられないことって多いんですよ。
そしてそのことに大人になって初めて気がつく。

この本はそのことを、大人になる前に気がつかせてくれる本です。

あぁもぅ、青春だなぁ、ちくしょう!!

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