火曜日, 3月 20, 2007

ミミズクと夜の王

「ミミズクと夜の王」 著:紅玉 いづき 電撃文庫

『ふざけんな、ばか』

泣きました。ボロッボロと。
こんなに泣いたのはいつ以来かな・・・。

この作品、いたるところで
「この作品をライトノベルに分類していいものか」
と言われ、論争を繰り広げた(ている)作品です。

その理由が「これは大人向けの童話だ」というもの。
これに関しては読んでご自分で判断してください。
なお、僕は
「面白かったからライトノベルだろうが
 童話だろうがどっちでもいいや」
というスタンスです。つまり逃げてます

・登場人物

主人公のミミズクは心が壊れてしまった子ども。
いろんな目にあって、いろんなことをしていくなかで、
気がつかないうちに心の中の何かが壊れて
自分ではどうしようもなくなってしまった子ども。

夜の王はミミズクが放浪の果てにたどり着いた森の王様であり、
魔物の全てを統べる魔物の王です。
彼はなにもしていません。ただ、ミミズクに傍にいることを許し、
ミミズクが彼と話すことを許し、
ミミズクが彼の絵を見る事を許しただけです。

クロは森に住む魔物の一人。
森に迷い込んだミミズクの世話をし、そして
時に助言し、時に導く親のような存在です。

・総評
・・・んー・・・僕はこの作品は「癒しの物語」として捉えています。
壊れきったミミズクが夜の王との対話で少しずつ、少しずつ
自分のしてきた事とされてきた事に向き合うなかで心を取り戻す
ところがメインだと思っています。

ただ、この本では同時に子どものためなら他人がどうなろうが
知ったことか、という親が子を思う自己中で強くて汚い、
それでもどうしようもない気持ち、友情、etc・・・と
人間の色々な部分を描いている作品ですので
百人いれば百通りの受け取り方が可能な作品であると思います。

大賞にふさわしい作品ですね。

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