カレイドスコープのむこうがわ ライトノベル

「カレイドスコープのむこうがわ」　著：三木　遊泳　電撃文庫

『無事ならなんでも構わん』

電撃文庫短編部門銀賞受賞作です。・・・漢字多っ！
某サイトで紹介されていたので読みました。

主人公の道弘は今まで自分の持っている能力に
気がついていなかったのですが、とあるきっかけから
門倉さんという美人のオネーさんにその能力を見出されて、
その後馬車馬のようにこき使われるというお話です。

ありがちに聞こえるかもしれませんが、
道弘が熱血でもなく、妙にひねたところもない
あくまで普通のちょっと温和な高校生として描かれているのと、
彼の力というのが受動的で補佐的なものなので、
道弘だけで物事をどうこうできない、というところが
この作品を独特なものにしています。

いや、いいですね。
全体にやわらかい雰囲気の漂う作品で、安心して読めました。
ラブコメは王道な気がしますがそれもまた一興ってことで。

どの話も読みごたえがある良作ですが、
個人的には終盤のとある話のおかげでメリハリがついて
全体がしまっているな、と思いました。
その話で主人公が
「自分は特殊な能力と生涯付き合っていかなければいけない」、
ということを自覚する話なのですが、
それまでまでなんとなく続いていた非日常を
自分の意思で受け入れる覚悟を決めるシーンとして印象深いですね。

（以下ネタバレにつき反転）
その後の５話で神様が出てくるのですが、
この方、あくまで等身大に描かれているのがいいですね。

ていうか、この人、和服なんですよ。
和服がいいですね。和服最高。油断したらすぐはだけそうな感じが最高。

読みやすくて読後感のいい作品です。
ただカレイドスコープ（万華鏡のことです）っていう名前は
ラノベよく読む人だと
「銀板カレイドスコープ」（という名前の作品があるのです）と
ごちゃ混ぜにすると思います。ていうか僕はしたんだ。